2012鈴鹿選手権シリーズの第5戦は8月12日に開催された。前日からの雨予報で、忙しいレースが予想されたが、朝からの天候は快晴で、一日ドライコンディションでレースが行われた。
YAMAHA SuperSSは、今年シリーズ参戦の水谷圭児(FA-KART)に加えて、約1年ぶりのレース復帰の松村元晃(FA-KART)が参戦。公式予選は復帰戦で松村がいきなりの4番手タイムを記録。水谷はうまくタイミングがあわせられず11位に終わる。セッション後、1名にペナルティがあったため、松村は3位、水谷は10位から予選ヒートをスタートする。
予選ヒートは松村が上位でレースを展開。水谷もアクシデントに巻き込まれないよう慎重なレース運びをする。終盤、松村はトップグループに追いついたが、オーバーテイクまでは至らず3位フィニッシュ。松村はこのヒートのファステストラップを記録した。水谷も調子の出ないカートでポジションを上げ、7位でフィニッシュ。両名とも決勝に向けて好位置からスタートする。
決勝ヒート、ローリングがディレイされ2周目に突入。ヘアピン立ち上がりで松村が突然失速。集団はホームストレートに帰ってきて無常にもスタート。ストップを免れた松村であったが、隊列からは大きく引き離され単独のレースを強いられた。7位スタートの水谷はポジションをキープしながらトップ集団に食いついていく。しかし、水谷に本来のスピードが無く、中盤には少し集団から遅れる形になった。それでも持ち前の経験とテクニックを駆使した水谷は瞬間的なチャンスを逃さず、終盤に2つポジションを上げ5位に浮上。そのポジションを最後まで守りきった水谷は今シーズン3回目の5位入賞を果たした。松村は悪くないペースで周回したが、最初のギャップを縮めることは不可能であったため15位フィニッシュとなった。
Suzuka-Mastersクラスはランキング争いの飯山知一(INTREPID)と久々のMasters参戦の中西智紀(FA-KART)が戦う。公式予選、飯山は0.272差の5位、中西は0.765差の15位。今回、27台と大盛況のこのクラス、下位に沈むとアクシデントなど思わぬ混乱も予想されたため、順位はまずまずといったところ。
予選ヒートは飯山が序盤~中盤で4位にポジションアップ。そのままポジションをキープしていく。トップグループには若干置いていかれる形になったが、後方も引き離し、決勝を2列目からの好位置でスタートできることとなった。中西も13位で2ポジションアップ。RMCクラスでは苦戦したが、このMastersでその存在感をアピール。決勝に向けても可能な限りセットアップを最善に施す。
決勝ヒート、スタートで1つポジションを落とした飯山であったが、序盤の早いうちに4位に復帰。今度はトップグループに食いついていく。一方中西はスタートでコース外に押し出されてしまいポジションを大きく落としてしまった。さらに追い上げを図った中西は他者との接触でシャーシにダメージを負ってしまう。これによりなかなかペースが上げられない。飯山はトップグループの最も後方でチャンスを見極める。トップの選手がかなり苦しいドライビング。最終コーナー、4台のペースが一気にダウン。ブレーキングで間隔が縮まる。思ったよりスピードダウンしたことにより、飯山がブレーキングミスから痛恨のコースアウト。ピットロード入り口を突っ切ってしまい、レースの隊列に戻ったときは中盤まで順位を落としていた。しかし、Mastersのおじさまはこれでは終わらない。トップ2台の接触など、かなり荒れたレースで飯山は8位までポジションを戻す。前方は先ほどまでトップを走っていた選手。一度は追いつくものの、後方の選手に隙を突かれオーバーテイクされてしまう。その間に7位の選手は逃げていく。9位に落ちた飯山はなんとか1台をパスし8位に復帰。そして7位の選手に迫るがここで時間切れ。ファステストラップを記録した飯山であったが、8位は残念な結果というしかない。それでも最速を誇った飯山は次戦では優勝を狙えるであろう。シャーシにトラブルを抱えた中西はペースアップは望めず23位がやっとであった。しかし、中西は手ごたえを感じており、次回ではトップ10を十分狙えるであろう。
SFCクラス。ランキング3位の白川孝広が不参戦のため、チャンピオン争いは同門対決の清水寿昭(FA-KART)と岡本孝之(CRG)絞られた感がある。公式予選、今シーズン徐々に調子を上げてきている岡本はトップタイムをマークし、予選ヒートのPPを獲得。清水は4位に終わり、野田卓司(FA-KART)が3位につける。
予選ヒート、フォーメーションラップで野田のエンジンマウントにトラブルが発生し痛恨のDNS。今シーズン初の表彰台をも見えていた野田にとって痛いトラブルだ。岡本は好スタートでトップをキープ。清水は野田がいなくなったため3位をキープする。岡本は快調に飛ばし、2位以下にセーフティマージンを築いていく。清水はいつもの速さが見られず2位に選手に迫ることができない。それどころか4位の選手のアタックに防戦一方の展開。岡本は余裕のトップチェッカー。ランキングポイントも2ポイント追加し、決勝のPPを獲得。清水はなんとか3位を守りきり、決勝へ向けてシャーシセットを詰めていく。
決勝ヒート、岡本は好スタートからトップをキープ。オープニングラップでその速さを爆発させ、2以下の選手に影をも踏ませない。清水は珍しくポジションを落とし4位に後退。レースはそのまま進行し、中盤まではポジションの入れ替えはない。野田は最後方から順調にポジションを回復させ、中盤には7位まで順位を上げる。岡本のペースは他の選手と段違いでこの時点で完全な独走を披露していた。終盤、清水のペースが大きく乱れる。そこへ他の選手が一斉に清水をオーバーテイクしていく。清水は疲労困憊の体を気力で動かしポジションをキープしようとするが、ついに野田にもオーバーテイクされ6位にポジションダウン。野田は5位をキープしファイナルラップ。岡本はペースを落としクルージングでトップチェッカー。うれしい初優勝を飾った。予選、決勝ともにファステストラップを記録し、文字通りに完全試合を達成。野田は15位から追い上げ5位フィニッシュ。7位に選手に迫られた清水であったが、なんとかポジションを守りきり6位でフィニッシュした。
10代の若い3名が出場したYAMAHA-SSクラス。出走台数41台の中で予選を通過できるのは34名。公式予選、予選ヒートは2グループに分かれて行われた。3名ともがAグループに振り分けられた公式予選。チームトップは清水聖也(INTREPID)の11位。広瀬光結(TONYKART)は17位、岩田啓佑(FA-KART)は18位と出遅れる形となった。
Aグループの予選ヒート、スタート直後にアクシデントが発生。3名はこの混乱をうまく切り抜け、清水は6位、広瀬は12位、岩田は14位と大きくポジションを上げた。清水はトップ集団に食らいついて、これまででのベストレースを展開。しかし、広瀬、岩田はペースが思ったように上がらず、徐々にポジションを失っていく。終盤、清水もペースがダウンし、他の選手にオーバーテイクされていく。それでも予選通過ラインよりはかなり前方で9位でフィニッシュする。広瀬は13位争いの中、なんとか14位でフィニッシュし予選通過を果たした。岩田は序盤で得たポジションをキープすることができず16位フィニッシュ。敗者復活戦となるセカンドチャンスヒートに回ることとなった。午後の最初のプログラムで行われたセカンドチャンスヒート、岩田は4位スタート。ポジションをキープすれば予選通過であったが、スタートで大きく順位を落とし、その後も8位争いを展開してしまう。その間にトップ集団に引き離されてしまい、フィニッシュは9位であった。岩田はまだカートレース2戦目。すばらしいオーバーテイクも見せ、次戦はさらにいいレースを見せられるであろう。
34台フルグリッドの決勝ヒート。清水は18位、広瀬は28位からのスタート。大きなアクシデント無くオープニングラップを終える34名。この序盤から清水のスピードがまったく上がらない。ストレートでもレースペースにあげることができず、ピットインし状況を見極める。プラグ交換、キャブの再調整を施しコースインするも、一向に改善する様子を見せない。ついに清水はレースをあきらめリタイヤ。好調だっただけに非常に悔しいレースとなった。広瀬は自分なりのペースを最大限発揮させレースを進ませる。ポジションこそ25位争いではあるが、抜きつ抜かれつの激しいバトル。最終的にフィニッシュは27位であったが、この決勝で完走を果たしたことは次のレースに生かされるであろう。
次回の鈴鹿選手権シリーズ第6戦は9月23日に開催される。
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